【Q&A】断熱基準で「UA値」の他に「Q値」があると聞きました。どんな値なの?
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カテゴリー:高性能エコハウス Q&A
A.家の断熱性能を知るために、おっしゃるとおり2つの数値があります。
歴史的にはQ値が古くから使われていて、UA値は後から使われるようになった指標です。
そう聞くと、なんとなくUA値のほうが「より正確」なように思いますよね。
ところが決してそうではありません。
わかりやすくご説明しましょう。
AとBの家を建てます。
家A | 家B | |
マスひとつが1坪ですから、どちらも9坪の家です。
どちらも同じ断熱材・同じ厚さ、同じ窓や玄関ドアを使用しています。
家A | 家B | |
さて、どちらの方がより「熱が逃げそう」でしょうか。
直感的にBの方が逃げそうですよね。
検証してみましょう。
ここでは単純に、壁や床の1マスから10ワットの熱が逃げてしまうとしましょう(窓や玄関ドアからはより多くの熱が逃げますが無視します)。
AとB、それぞれの「逃げてしまう熱の総量」を出してみましょう。
家A
壁:12×2=24マス
床:9マス
天井:9マス
計:42マス
42マス×10ワット=420ワット
家B
壁:20×2マス=40マス
床:9マス
天井:9マス
計:58マス
58マス×10ワット=580ワット
直感どおり、Bの方が熱が逃げてしまう家でしたね。
さて、ここからUA値とQ値の計算をしましょう。
UA値は、逃げる熱の総量を「壁・床・天井の面積」で割ります。
A 420ワット÷42マス=10.0
B 580ワット÷58マス=10.0
あれれ?
AとB、どちらもまったく同じ断熱性能になりました。
ちょっと驚きですよね。ではQ値はどうでしょうか。
Q値は、逃げる熱の総量を「床の面積」で割ります。
A 420ワット÷9=46.7
B 580ワット÷9=64.4
どうでしょうか。
これが「実態に即して家の断熱性能がわかる指標はQ値だ」とされるゆえんです。
そんなQ値ですが、弱点もあります。
ここでCの家を建てます。「壁・床・天井の面積」がAと同じになるように設計しました。
壁:14×2=28マス
床:7マス
天井:7マス
計:42マス(Aと同じ)
42マス×10ワット=420ワット(Aと同じ)
ここでUA値とQ値、それぞれ計算します。
CのUA値 420÷42=10.0
CのQ値 420÷7=60.0
UA値はAやBと同じになりました。
Q値はAが46.7だったのに対し、Cは60.0になりました。
おかしいですね。逃げてしまう熱の総量は両者同じ(断熱性能が同じ)なのに…。
これがQ値の弱点です。
本来なら同じ断熱性能になるべきところ、小さな家よりも大きな家の方が有利な数字が出てしまうのがQ値なのです。
結論として、UA値は家の大小にとらわれず、外皮(壁・床・天井)の性能を表すのに有効。
Q値は家の大きさが同じくらいならば、より実態に即した断熱性能を知るのに有効な数字と言えるのです。
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